大企業による「下請けいじめ」がまん延している。一方的に安い契約を強いる「買いたたき」や、不当な「労務要求」などが横行。昨年度、公正取引委員会が下請け法違反で指導した件数は、6,302件と過去最悪だ。働く人の7割を占める中小企業。事態を重く見た中小企業庁は、今年(2017年)4月、専門の調査チーム「下請けGメン」を発足させ、約2,000の下請け会社を対象に調査を開始した。クロ現+はこの調査に密着。見えてきたのは、優位な立場を利用して不当に利益を得る大企業の姿だった。
大企业所引起的“外包欺压”在不断蔓延。与此同时,单方面强制签订低价合同的“压价”、以及不正当的“劳务要求”等不当在业界横行。去年年度,公平交易委员会因涉嫌违反外包法进行的指导件数为6302件,达到过去之最。其中中小企业劳动人数占了其中7成。鉴于情况严峻,中小企业厅于今年(2017年)4月,成立专门调查小组“外包交易调查组”,并开始以约2000家外包公司为对象展开调查。Cross现+(纵横现代+)对此进行了密切追踪。在采访中隐约可见的则是,藏于深处的,利用自身优越立场获取不当利益的大型企业。
ノーと言えない下請け業者 取り引きが“人質”に…
外包方难说“不” 交易终成“人质”……
全国に80人が配置された下請けGメン。取材班は、大手スーパーに豆腐を納めている業者への聞き取り調査に同行した。
外包交易调查组在全国一共有80名成员。采访组这次则与他们同行前往一家供货大型超市的豆腐制造商进行听取调查。
「これ、中身はいっしょなんですけれど…」豆腐製造業者が差し出したのは、パッケージが異なる2つの豆腐。1つは98円、もう1つは30~45円ほどで、スーパーで売られている。
“这个,其实都是一样的东西……。”豆腐制造商指出2盒包装不同的豆腐。一盒98日元,另一盒大概30~45日元,放在超市里卖的。
98円の豆腐は、この豆腐製造業者がスーパーに卸している自社商品。一方、30~45円のものは、スーパーのブランド名で製造したプライベートブランド(PB)商品だ。スーパーなどがみずから企画開発を行ったPB商品は、流通コストを抑えられるため価格が割安。そのため人気が高まり、市場規模は3兆円にまで拡大している。ところが、このPB商品で「下請けいじめ」が横行しているというのだ。
98日元一盒的豆腐是该豆腐制造商的自有产品,同时出货给超市进行贩卖。另外30~45日元一盒的则是以超市名义进行制造的自主(PB)商品。由于抑制了其中的物流成本,超市自主进行计划开发的自主商品价格十分低廉。为此聚集了大量人气,市场规模扩张至3兆日元。然而,在这自主商品之中,却隐藏着“外包欺压”的实情。
PBの豆腐の卸値は24円で自社商品の半額以下、しかも原価割れを起こしている。スーパーが売値を先に決め、自分たちの利益を確保したうえで、一方的に値下げを要求する結果だという。それでも、生産する豆腐の8割をこのスーパーに卸しているため、要求に応じるしかないのが実情だ。
自主(PB)商品的豆腐,批发价是24日元,比自有商品便宜一半有多,而且要比成本价还低。超市在计划销售前期便将销售价格定下,在确保自身利益的同时,不断要求降价,才导致了这样的结果。但由于该豆腐制造商生产出来的豆腐,有8成是出货给该超市,便不得不答应其要求了。
「スーパーにお金をどれだけ差し出すかが貢献度になっている。その値段で出さなかったときは『おたくは企業努力がたりませんね』、それで取引は終わってしまう」
“能让利多少给超市已经成为所谓的贡献程度。若是没能在价格上有所体现的话,会被说成是‘贵司仍不够努力’,一句话就能把原有的交易变成白纸。”
さらに、無償で業務の肩代わりをさせられている実態も分かった。豆腐製造業者の日報によると、社員がスーパーの店舗に呼ばれ、書類作成や商品データの打ち込みなどで、長時間にわたって拘束されていた。
除此之外,还发现了一些无偿代理业务的存在。从豆腐制造商的日报上看来,公司员工会被叫到超市店面帮忙制作文件、录入商品信息等等,长时间困在原本并非自身岗位的工作上。
これは下請け法上の「不当な役務提供」に当たると見て、下請けGメンは、他の事業者も含め実態調査を進めることにしている。
该种行为已触犯了《外包法》中的“不正当工作业务提供”项目,外包交易调查组,在其他行业中也正展开类似的现状调查。
「根が深いのかなという感じはもちました。実態を確認しなければいけなが、極めて“クロ”に近い話」(下請けGメン)
“感觉到(这样的现状)已经根深蒂固了。越是深入确认现状,则越觉得那像是个无底深渊。”(外包交易调查组)
こうした事態について、スーパーが加盟する業界団体は、「以前から取引の適正化を呼びかけてきたが、今回の事態は把握していない」としている。
就所发现的现状,超市行业联盟团体称:“以前则开始不断呼吁要正确处理交易,不过没有听说这次的情况。”
業界は好調のはずなのに… 毎年1%の値下げ要求
明明生意火爆…… 却提出每年降价1%的要求
Gメンを管轄する中小企業庁が特に注目しているのが製造業だ。その理由は、年々広がる大企業と中小企業の利益の格差。アベノミクスによる円安や株価上昇で、2015年度の大手自動車メーカーの経常利益率は9.3%とリーマンショック前の水準を上回っているが、中小企業は2.3%と伸び悩んでいる。
外包交易调查组所属中小企业厅尤其关注制造业。其中原因在于大企业和中小企业间逐年拉大的利润差距。因安倍经济的施行所带来的日元贬值、股价上升等利好,2015年大型汽车制造商的纯利率达到9.3%,重新回到金融危机前的水准。另一方面,中小企业却在2.3%中停滞不前。
自動車関連の下請け企業6,000社がひしめく愛知県。ここでGメンの調査に同行した。多くの企業が口を閉ざす中、「業界全体の取り引き改善につながれば」と、2次下請けの部品加工会社が取材に応じた。
爱知县,在这里有6000家汽车相关外包企业。我们也跟随外包交易调查组一同前往进行调查。很多企业对此事都只口不提,唯独一家二次外包零部件加工企业抱着“如果能为业界整体的交易改善出一份力的话……”的想法,接受了我们的采访。
「円安になったら戻るかなっていう期待も少しはあったんです」と話すのは、社長の金田和久さん。かつては、1次下請けである親事業者との関係は良好だったという。好景気の時には利益を分かち合い、不景気になると効率化の道を共に探った。その関係はこの10年で様変わりしたという。
“还曾经稍稍期望着日元贬值会好一些。”,该企业社长金田和久说道。原本,和上一级外包商还是十分良好的,生意好的时候大家都能分一杯羹,生意淡的时候一同探讨效率化措施。可是这样的关系,在近10年来,开始出现变化了。
2008年、リーマンショックと急激な円高で不況に見舞われた自動車業界。下請け会社はギリギリのコスト削減努力を続けてきた。その後、アベノミクスによる円安で大手自動車メーカーと多くの1次下請けの業績は大幅に回復。しかし、2次下請けのこの会社は、今も毎年1%の値下げを求められている。厳しい要求に応える中、売り上げは落ち込み、赤字傾向にある。社員の給与まで抑えたが、それも限界だと言う。
2008年,金融危机还有突如其来的日元升值,给汽车行业带来巨大的影响。外包企业能省则省,不断努力进行成本削减而来。至此之后,安倍经济施行所带来的日元贬值则带动大型汽车制造商以及多数一次外包商,业绩大幅度回升。然而,作为二次外包的该家企业,现在也不断被要求着每年降价1%。为了不断应对这些无理的要求,销售额不断减少,频临赤字。据透露,为此就连员工的工资都有所抑制,但也已经是极限了。
「平気で値下げ1%って、皆さん言ってきますが、やれないと思いますよ。やれるところはなんか変です。もう絞るところがない」(金田社長)
“虽然大家都在随意说着降价1%,可这真的做不下去了。能做下去才怪。能减的我们都减了。”(金田社长)
毎年の値下げ要請は、大手自動車メーカーから下りてくる。そこでメーカー側を取材したところ、「原価低減はグローバルな競争力を維持、強化する。今後も下請け企業と丁寧なコミュニケーションを図りたい」と回答があった。
大型汽车制造商每年都会提出降价的要求。我们也就此采访了制造商,对方则如此回应:“降低成本目的在于维持、强化全球竞争力。今后也会和外包企业就此进行深刻探讨。”
今回のケースについて、中小企業庁では指導を出すまでには至ってない。しかし、大手自動車メーカーが加盟する業界団体を通じて、取り引きの改善を要請した。これを受けた業界団体では行動指針を策定、下請けGメンが、改善が進められるか注視していくことになった。
这次的情况,虽然也还达不到中小企业厅进行指导的地步,但是通过大型汽车制造商所加盟的业界团体,我们提出了改善交易的请求。同时对方也接受了请求,并针对该问题制订行动方针,外包交易调查组也将持续关注改善的进展。
大企業の利益はどこに…下請け業者の苦難が続く理由
大企业利润何处去……外包商苦难永续的理由
業績好調な大企業。その利益はどこに使われているのか。製造業での内訳はこうだ。社員の賃上げが31.7%、利益を社内に蓄える内部留保が25%、そして海外投資が20.3%を占めている。一方で、下請け業者などへの取り引き改善に使われたのは、わずか2%。その理由を経済学者の山口義行さんは次のように分析する。
大型企业生意火爆。然而所得利润到底用在哪了?这是制造业的分类明细。公司员工工资占31.7%、内部留存利益25%、海外投资20.3%。然而用于改善与外包企业间的交易的,只占2%。其中理由,经济学家山口义行先生分析道:
「大手企業の利益の大半は、実は為替。円安でもうけている。そのためちょっと円高になると、利益が急減する。その急減分をなんとか補おうとして、下請け企業に値下げを要請するという構造になっている。そして、内部留保が非常に多いのは、経営が不安定であるのと同時に、先行きが見えない。例えば、自動車業などが、これから電気自動車化が進んでくると、業界全体ががらりと変わってしまう可能性がある。それに合わせて内部留保していかなくてはいけない」
“大型企业的利润,其实有一大部分是汇率来的。日元贬值的时候盆满钵满,日元稍稍有所升值,利润便会激减。作为减少部分的补偿,便开始向外包企业提出降价要求,形成这样的结构。说道为何有如此多的内部留存,那是因为经营上有许多不确定因素,与此同时,未来趋势的不确定也是原因之一。打比方说,汽车行业现在朝着汽车电动化发展,行业整体很有可能出现翻天覆地的变化。因此企业不得不留一部分资金作为内部留存。”
事態を改善する手立てはないのか。山口さんが提言するのは中小企業の「脱下請け」だ。
难道就没有改善现状的方法了吗?山口先生则提出了中小企业的“脱离外包”行动。
「なんといっても営業力を強化する。営業というと物を売りに行くように思うが、実は、営業しながら情報を収集している。今、必要なことは、一歩踏み出して、いろんな所から、いろんな企業の情報を集めてくること。そういう積極的な経営者がたくさん出てこないと事態はなかなか変わらない。経営者が自分で売り先を選べるような環境を作る動力も必要だと思います」
“不管怎么说,我们要做的是强化自身营业能力。大家会觉得营业就是销售物品而已,但实际上,销售的同时,也在不断收集着情报。当今最需要的是迈出最开始的一步,不断从四面八方收集情报。若没有人能积极的迈出这一步,也无法改变现在的状态。我认为,营造一个能够让经营者们自主选择客户的环境,其中的原动力,也是十分有必要的。”
取材の中で、強く耳に残った言葉がある。買いたたきによって、やむなく商品の質を落とした豆腐製造会社の社長のつぶやきだ。
采访当中,有一句话让人印象深刻。那就是由于压价不得不降低商品品质的豆腐制造商社长的一句嘟囔。
「水の味しかしない豆腐もあるわけですよ。私どもがしていることは、最終的にはお客様が不利益になっている思いますし、日常が貧しくなったということじゃないか」
“现在也有一些豆腐味道淡得完全没有豆香味。我们现在所做的,最终还是会导致客户的利益受损。这样,不就让我们的日常生活变得更加寡淡吗?”
下請けいじめは中小企業だけでなく、我々消費者にも突きつけられた問題なのだ。
外包欺压,不仅关乎中小企业的生存,同时也是我们消费者需要考虑的一大问题。