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【日语原文】ROCKIN’ON JAPAN 2011年10月号

本来想趁着FF7重置版发售把这篇访谈翻译一下的,但基本都是些很简单的对话也很麻烦就放弃了,对照着翻译软件看估计意思也差不了多少吧。虽然说讲的是《ゼロ》的事,但其实主要是宅藤与FF系列的渊源(连他自己都吐槽了两次封面的音乐人一直在讲这些真的好吗)。这本的杂志照大概是我上次买回来那堆杂志里我最喜的了(づ◡ど)

(因为rockin的排版问题文字是纯手打的,也许会有什么错误也不一定)

前言

年々、時を経れは経るほど、本人も言ってるようにバンプ・オブ・チキンの作品インタヴューの結論は一つの同じことを言うほか無くなってきている。生きること、死ぬこと、ずっと心の中にある大切な思い、今と永遠——そうしたごく限られた根源的なものをただ音楽にしているだけなのだ、と。

インタヴューする僕の側も、まるで月に向かって「今日の月は本当に綺麗だね?」と訊いているような、花に向かって「今年の花も本当に美しく咲いたね」と確認するような、それ以上の「なぜ?」や「どんな風に?」という質問に意味が無いように感じることがますます増えてきている。最近の藤原基央は、まるで月が月としてそのまま輝くように、花が花としてありのままにさくように、自分の中にあるものをそのまま音楽として出している。いや、出せるようになってきた。というほうが正確だろう。そうなればなるほど、ますます「なぜ?」や「どんな風に?」という問いに意味が無くなっていく。それを僕も藤原も「何だか申し訳ない気がするけど、でもそれは健全で、いいことだよね?」という風に共通認識しながら、できる限り言語に落とし込みながら会話し続けてきた。

だが、やはり月は当たり前に美しいわけではないし、花は当たり前に美しく咲くわけではないそこには必ず奇跡があるのだ。雲の形やおしべとめしべの交わり———そうした「偶然」という衣をまとった、だがその月や花にとってはかけがえのない「奇跡」によって、月は美しく輝き花は美しく咲く。

今回のシングル「ゼロ」にとって、その奇跡はゲームソフト「ファィナルファンタジー」と藤原基央との長く深い関わりとFF制作者サイドのバンプに対する思いの交わりだった。そのる奇跡が、藤原の中にあった何かを“ゼロ”という花として咲かせたのだ。ドラえもんの映画のタイアップ曲“友達の唄”や、以前の「ALWAYS続・三丁目のタ日」の主題曲“花の名”もそういうプロセスだった。そうしたプロセスを、このインタヴューで藤原は解き明かしている。

では、3.11の震災後にリリースされた"Smile"はどうなのだろうか。あの歌の生々しさ、赤裸々さ、「花」と呼ぶには切迫感がありムキ出しのあの歌は、藤原のどこからどうやって生まれたものなのか。今回のインタグューで、実はそこに対して突っ込んで訊こうとしたのだか、藤原はそれについて語る言葉を持っていなかった。つまり、あの歌はそういう歌なのである。いつか、これから10年先か20年先になるかわからないが、僕はあの歌についてもう一度藤原に訊きたいと思っている

タイアップという形によって、より明確になった藤原基央の普遍的な創作姿勢、そして、そこすらも超えた境地で書かれた(と僕は思っている)“Smile”での生々しさ——バンプ・オブ・チキンの音楽は、本質的な成長を遂げ続けている。


正文

・今回、「ファィナルファンタジー零式」のテーマソングとういうことで“ゼロ”、これがニューシングルとしてリリースされると。

「はい」

・これはどういう経緯があるんですか?

「えーと、“友達の唄”を書く前、既に「(ドラえもん 新・のび太と)鉄人兵団(~はばたけ 天使たち)」の話が来た、それから「零式」の話もいただいてしまった、みたいな。それでみんなで、「何だこれ、ほんとか?夢か?」みたいな感じになっていました。ほぼ1年ぐらい前の話だと思います。だいぶ前からあったことで。「COSMONAUT」を作りながら、「ドラえもん」の曲はいつぐらいにできる?みたいに言われて。で、「まあまあまあ」って言いながら、そのうち“友達の唄”が書けて。で、FFの歌はいつできる?ってずーっと言われ続けていて(笑)。それも「まあまあまあ」って感じで。今年に入って、1月の、確か20日前後ぐらいに書けたんじゃないかなあ。スタジオで書いたような気がします。それで、曲書いてから“セロ”のレコーディングってすぐに行かなくて。最初は例によって僕のギターと、全部僕が打ち込んだデモテープだったんですけど。それを一旦バンドのメンバーが解釈して、バンドのデモテープを作るっていう、またもう1個デモテープ作りがあるんですけど。それを結構やったんじゃなかったかな?それでレコーディングが始まり。で、オケが8割でき上がって。地震があって、しばらく作業できなくなって。ヴォーカルとかまだ入ってない状態、仮歌の状態で、あと間奏とかも何も入ってない状態で。間奏とヴォーカル録りは後日ね、みたいな感じのまま残ってしまい。6、7割ぐらいかな?でも、半分以上は終わってましたね」

・じゃあその真っ最中に地震が起きたの?

「そうですね。2、3日後とかですね。最後のレコーディング入って……うん、スタジオに入って、僕、その時はウドゥって楽器を録ったんですけど。打楽器です」

・へえ。太鼓みたいなもの?

「土でできてるのかな。壺みたいな形してて。陶器ですね」

・低音が出るやつ?

「そうですね、穴があいてて。ボン、て鳴って、ちょっと手を離すとボゥン、ってこう、音階がつくっていうか。音がベンドされるというか。なんて説明したらいいのかちょっとわかんないんですけど、興味ある人は楽器屋さんに、ウドゥってどんなやつですかって訊いてください(笑)」

・あのイントロから出てくる音だよね。

「そうですそうです、民族調の、はい。あれ、僕叩きました。あれはれえ、10年以上前だと思うんですけど、姉が誕生日にくれたんですね。当時は、姉には悪いんですけど1回引いてしまって、若干(笑)。僕らの中でずっとネタになってたんですけど(笑)、僕ずーっと大事に持ってたんです、それは。で、ときどきボゥンてやったりしてたんですけど(笑)」

・ははははは

「「それがいいんじゃねえか?」みたいな感じになって」

・(笑)へえ、不思議なもんだね。

「そうそう。それ引っ張り出してきて、初めてレコーディングで使用して。初めてまともにプレイした訳ですけども。そのウドゥを叩いて。で、その日は終わって。ほんと数日後とかに地震があって。そこからレコーディング一旦中断で。地震の8日後に“Smile”の曲を書き始めて。そんで、2日で書けて。書き上がってそのまんまスタジオで錄るみたいな感じで。それで“Smile”は、曲が書き上がると同時にレコーディングみたいな感じで錄って。あれもすぐリリースみたいな感じかと思ってたんですけども、もう錄った次の日から流れてるみたいな話だと僕は思ってたんですけど、そうでもなくて。いろいろとあったみたいで、時間かかって。で、ちょっとしてから、流れしていただいて。僕らそれについていろいろと、お話しさせていただいてという期間があって。そのへんからまたちょいちょい曲作りとか再開し始めて。“ゼロ”とか“友達の唄”とは全然関係なくて、また新しい曲書こうかあみたいな感じで入って。ちょいちょい書いて。とかやりながら、“ゼロ”のレコーディングの続きも始まって、歌も錄って。歌なんてのはもうほんと、1週間ぐらい前に錄ったばっかで。それで、昨日ミックスが終わって。今に至るみたいな感じですね、はい」

・そもそも藤くん、「ファイナルファンタジー」の大ファンということは聞いてますけど、どれぐらいのハードコアなファンなんですか?

「えーとねえ、僕はこんなにハードコアなんですよ、みたいなことはないんですけど(笑)。古くは、小学校2年生、3年生とかかなあ、最初にやった「ファイナルファンタジー」は普通にⅠで(笑)。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ......Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ......あ、普通にやってました(笑)」

・(笑)。でも、「ファイナルファンタジー」と藤くんで、まあ言っちゃ悪いけど「ぴったりだなあ!」という感じだね(笑)、世界観的にも。

「ああ、そうですか。Ⅹまではちゃんとやってきたんですけど、Ⅹ-2から最近のやつまではクリアできてなくて。Ⅹまででした」

・なるほどね。もうⅠからいきなり「こりゃもう好きだあ!」って感じではまった?

「いや。えーとね、僕はこのゲームが好きなんだと思う始めたのはⅡからで。その当時、小学校低学年ぐらいの自分にはⅠはすごい難しくて。サハギンて敵が出てくるんですけど、子ども心にものすごい怖くて。怖いなあってずっと思ってて(笑)。ⅠよりもⅡのほうがキャラクターがあって。Ⅱはね、フリオニール、ガイ、レオンハルト、マリアか。その4人組が逃げてるとこから始まるんですけど。もう初めから戦闘シーンから始まるんですけど、その演出から引き込まれて、はい。Ⅱで、恐らく俺はこのゲームが好きなんじゃないかなって、もやもやっと思い始めて。なんでなんですかね?まずキャラが立ってたのが強いんじゃないですかね、たぶん」

・超ゲーマーだったの、その頃?

「いや全然」

・あ、そうなんだ

「はい、ゲームに関する家それぞれのルールあるじゃないですか。それも結構、他のおうちに比べて厳しいかったと思います」

・何時間まで、みたいな?

「そうそうそうそう。何時間とかなかったんです。何十分でした。30分か。それでも夢中になってやってましたけど。脇役って言っていいものかどうか、ミンウとかヨーゼフ、ゴードンとか、いろいろ出てくんですけど。うん、たぶんチャラが立ってて、小学校低学年の僕にもストーリーが追えたっていうのもあると思います」

・じゃあもうその後、Ⅲ、Ⅳ?

「Ⅲはもう、完全に大好きでした(笑)」

・はははは

「Ⅲは6回ぐらいクリアしてるかな。もっとかもしれないな、もしかしたら。ジョブチェンジっていうシステムが初めて、Ⅲから。たまねぎ剣士ってのが登場して。4つのクリスタルがあってね、そのクリスタルひとつにつき、いくつかずつジョブが増えていくみたいな感じで。新しいジョブが増えるとすごくわくわくして。忍者・忍者、賢者・賢者みたいなね、はい(笑)」

・(笑)

「うん、そうですねえ、Ⅲはほんと、はい。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲまではファミコンです。それでうちスーファミなかったんで、Ⅳから体験はちょっと、みんなより遅れてたんですね。そのうちやる機会があって。スーファミ借りたんだっけな?それでやって。うん、Ⅳおもしろかったですねえ」

・さっきキャラが立ってたっていって言ってたけど、登場人物のキャラ、ストーリー性もさることながら、この世界観、独特の。

「うんうんうん」

・まあ、すっごいざっくり言っちゃうと、暗いじゃん(笑)

「暗いですね。そうですね、はい」

・この「ファイナルファンタジー」に特に思い入れた理由みたいなものって、自分で何か言語化できる?

「まず曲が大きいと思いますね。植松(伸夫)さんの曲。ファンは多いと思いますよ、FFシリーズのプレニュードといいね、FFのテーマといいね。シリーズ通して流れてる、チョコボのテーマとかもそうなのかな。サントラの力っていうのはすごいでかいと思います」

・戦いながら進んでいくRPGの中でも、「ファイナルファンタジー」の、それぞれ抱えた運命の交差だったり、必然と偶然のすごくみごとな交差だったり。それと、仲間が必ずいるんだけど、その仲間もそれぞれの背景を背負って。最初出会った時はこうだったけど実はこうだった、みたいなことだったりとか。

「そうですね、はい」

・そういった世界観の緻密さとか、幾重にもなっている感じとか、それがいかにもすごい好きそうだなあっていう。[まさに!]って思ったんだけどね。

[Ⅰをやってた時は、とにかくすごく怖くて、暗くて、殺伐としていて。ドラクエに比べて敵とかもほんと怖いし。ドラクエの敵も怖いのは怖かったんですけど、スライムとかかわいいじゃないですか。でもサハギンがほんと怖くて(笑)]

・(笑)

[Ⅰの時はとにかく暗い、怖い。でも惹かれる、みたいな感じでやってて。Ⅱの時は主人公たちにもちゃんと名前があって、ひとり抜けた枠にどんどん仲間が加わっては抜けて。さっき山崎さんがおっしゃったような、それぞれのストーリーがあって。そういうね、子どもの心にもちゃんとストーリーが急にガッと入ってきて、うん。中ボス格になると戦闘シーンの曲が変わるんですけど。ゲームボーイアドバンスも出て、それツアー中に俺やってたんですけど。だから大人になってからですね。その時は、曲の音も良くなってたし、たぶん曲数も増えてたんですけど。ファミコン版の時は、戦闘シーンの曲が変わった時はほんとにびっくりして(笑)。まじ怖くて。もう怖がってばっかなんですけど(笑)]

・異常な緊迫感だよね。中ボス以降のあの戦闘シーンの音楽ね

[そうそうそうそう。普通にエンカウントしてる敵が、こんな曲流れていいのかよみたいな。でもね、自分の周りにあんまり[ファイナルファンタジー]やってる子がいなかったんですよ、Ⅱの時は。やっぱ共通のゲームの話をするじゃないですか。そういう話があんまできなくて。で、Ⅲの時、確か僕、小学4年生か5年生、ちょっど移り変わる時だったのかな?5年生か。一番仲いい子も買って。今でも仲がいい奴なんですけど、そいつは。一緒にFFⅢの話をしながら、鼻唄うたいながら登下校するみたいな]

・大人ファンが多かったんだよ結構、FFは。

「ああ、そうなんですか。でも、確かに大人の世界をちょっと覗いてしまった、みたいなことを思ってましたね、当時の僕はね。でも、「ファイナルファンタジーⅢ」はそう考えると、小学校5年生の僕らでも、全然——ああ、でもそれもちょっと大人っぽい感じしてましたね、そういえばね。パッケージのデザインとかもね、どっかね」

・そうそうそうそうそう。異常に濃いゲームだよんね。

「そうですねえ……いや、もう、好きなように話せって言われたら、ほんとうざい感じになると思います、はい(笑)」

・(笑)

「いいんですか?表紙のアーティストが、こんなやつでいいんですかね?」

・いや、とりあえずこれは序盤戦なので大丈夫です(笑)。でもそんなFFから、この歳になってこのオファーが来るっていうのは、どういういきさっで?

「そうなんですよ。それもだから、僕、うまく言えないで順を追って話そうと思ったんですけど。Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、スーパーファミコンのやつはちょっと、スーパーファミコン自体がうちになかったんで、やるのが遅れたんですけど。ちょいちょいやって、遅れ馳せながら。どんどんドラマティックになってって。と同時に、ハードが進化して、グラフィックの表現力とかも上がったと思うし。音源も多様化していっだからⅦとかは当時、ほんと衝撃的で。僕はあん時、何歳だったなかなあ。16、17じゃないですかねえ。18になってたのかなあ……そんくらいだと思うんけど、まあ衝撃的で。まずヴィジュアルが衝撃だったんですけど」

・ちょっとリアリスティックなCGに変化したよね、Ⅶで。

「そうそうそうそう。「バハムート何だこれ?」みたいになって」

・(笑)

「Ⅶもやり込みましたねえ。ちゃんと海チョコボ育てたもんなあ、うん、でも、すげえなっていうか、主人公も「どうしたこいつ?」みたいな感じで(笑)。クラウドですね。お話も、ヴィジュアルも、全部衝撃的で、当時は既にバンプ・オブ・チキンは存在していて。メンバーとね、「Ⅶすげえな!」って、もう、語り合い(笑)。だからⅦの関連してるゲームっていうのが出るくらい、そのストーリーに興味を持ってる人たちが多いってことなんじゃないですかね。映画もそうだしね。「ファイナルファンタジーⅦ」っていうゲームが当時出て、そのゲームのストーリーの以前のお話とか、以後のお話とか、そういうものが追って描かれてる訳です」

・それ、ひとりで観に行ったの?

「いやいや、みんなで観に行きました。もう、はい、みんなで観て、「やべぇな!そういうことになってたのか!」と(笑)。そうですね、映画はすごかったですね。衝撃度っていうか、興味としてはやっぱり以前……あ、でも、どっちも同じかな。以前を描いたストーリーはゲームで出たんですけど。そのゲームもだからもう、すごい刺激的なものでしたね。「あ、そうだったんだ!」って」

・要するに、プレ・ストーリーがひとつのゲームになってるんだ。

「そうです、はい。「そうなってそうなってそうなってそうなったんだあ!」みたいな(笑)」

・「スター・ウォーズ」方式だ。

「あ、そうそうそうそう!そういうことです、はいはいはい。「そうそう、わかるわかる!」ってね、大きく頷いてる読者の方もいるんじゃないですかね。でも、ひとりひとり思い入れが強いゲームだと思うので、藤原の言ってることはちょっとちげーんじゃねえかって思われてるかもしれないですし。それもそれでしかたないかなと思うんですけども(笑)。それでⅧになって」

・(笑)すごい順を追うなあ!

「はい、Ⅷは大事なんです!Ⅷが出た時に僕はベースの直井(由文)くんとね、一緒に住んでたんですけど。Ⅷは、魔法をドローするシステム、敵から魔法を奪ってストックしていくっていうシステムで。僕はプレイしてるの直井くん横で見ていて。Ⅷの話になると彼がよくするのは、藤くんが全然ザコの、ひとりで挑んできているような、何にもできない兵士を一発で倒せるのに倒さずに。こっちに対して攻撃してきたって全然どうしようもない訳ですよ。「そいつから、しこたま魔法をドローしてたよね」みたいな(笑)」

・はははははは

「「俺はほんとに、敵が哀れでならなかったよ」っていう話を彼はよくするんですけど」

・(笑)ドロー好きなんだ。

「いやもうドローはすればするほどパラメータが上がるんですよね(笑)」

・(笑)性格出るよね。

「はい、そうですね。結構丁寧にやるほうなんで。敵にもレベルがあって、Ⅷには。自分が強くなれば敵も強くなるんですね。Ⅷのエンディングは確か直井くんと一緒に観たんですよね。クリアして、ふたりでこう、テレビにかじりついて観てましたけど。終わって茫然として、すぐ寝る気にもならなくて、ずーっとしゃべってる感じ」

・ははははは

「そのⅧなんですけど、主題歌が導入されて、フェイ・ウォンさんの歌ってる“Eyes On Me”って曲が。主題歌っていうのはあれが初めてなんじゃないですかね、シリーズでね。それがすごく......僕たちみんな、その“Eyes On Me”って曲がすごい好きで。ストーリーのなかでもすごく効果的に使われていて。ギター弾いて歌ったりして、自分たちでも(笑)。ほんと、マジ恥ずかしいんですけど、耳コピーして歌ったりとかもしてね。だから当時、もうバンド全然やってる訳ですよ。僕はその当時、カフェでバイトしていて、バンドやっていて。まだ「FLAME VEIN」作る前だったと思うんだけど。ていうかCDとかまだ作ったことない時かな、たぶん。もしかしたらデモテープはあったかな。っていう感じの時で。バカだからね、「俺たちが主題歌とかやれないかな?」みたいな。全然現実味のない話で、それは。でも、そういう話をしたりとかして。そしたらこういうふうなシーンで流れたら嬉しいね、とか。こんなんがいいね、あんなんがいいねとか。絶対叶いっこない夢で、絶対叶いっこないからほんと言うこと好き勝手で。ほんとにだじゃらね、うん、そんなレベルの話で、自分たちにとっては。ふたりで住んでるおうちの近所に公園があったんですけど、その公園とかで、ほんとにもう、朝まで、夢中で話すみたいな。そんなぐらいのレベルのことで、そういうタイミングが何回もあるみたいな(笑)」

・へえー、言ってたんだね、当時からね。

「いや、すげえ言ってました!すっげえすっげえ言ってて、うん。Ⅷからはずっと主題歌があるのか。Ⅸは“Melodies of Life”、Ⅹは“素敵だね”って」

・すごいね。その話ね、でもね(笑)

「ちょっとすごいことだと思うんです、ほんとに。だから、ねえ、もしタイムスリップしてね、「やることになったから」とか(笑)当時の自分に言ったとしたら、絶対信じないでしょうね」

・ははは

「絶対信じないと思います。なんでそんなひどい嘘つくんだろう、って」

・(笑)怒ってる?

「うん、なんか、いろんなものに勝手に失望して心を閉ざして(笑)」

・ははははー

「ゲームとかももうやらなくなってるかもしれないです。そのくらいあり得ない事で。あり得ないことだし、その手のネタとかほんとにやだと思います、たぶん。それがもしネタだったとしたら、当時の自分は。でもほんとに、それは夢すぎて、僕らにとって。夢ってのは、将来オリンピック選手になるぞとか、将来一流レストランのコックさんになるんだぞとか、そういうが夢じゃないですか。将来サッカー選手になるぞとか。そうじゃなくて、夢物語って感じ(笑)。自分も蚊帳の外で話を楽しんでるみたいな感じで、はい。全然違うでしょ?うまく言えないけど。もう、あり得る訳がない」

・步いていく道ですらないって感じだね(笑)。

「そうです、そうそうそう。だからでかいこともいっぱい言うんですけど、ほんとに夢物語すぎて、なんか似たようなことせめてできねえかみてえな気持ちが高じて、もうRPGツクールみたいなものにまで手を出して。RPGを作れるんですよね、それで何か作ってみようとか思ったり」

・そっちからなんだ(笑)。

「そしたらあんまりにも序盤にいろいろと要素盛り込みすぎちゃって、「さあこれから冒険だ!」って時に容量が足りなくなっちゃいましたみたいな(笑)」

・ははははは

「あ、それもうちょっと前の話ですね。スーパーファミコン版を僕はやりました。……いいんですか?表紙のミュージシャンがこんなんでいいですかねえ?(笑)」

・(笑)。で、どういう形で今回それが実現へ向かったの?

「えーと、なんて説明したらいいんでしょうね。「零式」の話っていうのは、去年くらいからの話だったんですけれども、実はそれ以前から、FFの制作スタッフの方とは面識がありまして。「零式」のクリエティヴプロデューサー&キャラクターデサイナーの野村哲也さんと面識がありまして。何度も会った訳じゃないですけど。それはさっきちらっと話した「FFⅦ」のキャラクターを生み出した人で。僕は16、17、18の時に夢中になって、度肝を抜かれたあの「FFⅦ」の野村さんか!と、もう、ほんとに僕らはびっくりして。「FFⅦ」の続編になる、その後の世界をかいた「アドベンチルドレン」て映画があって、その試写会的なものになんと呼んでくださって。それまで面識はなかったんですけど、僕ら4人、六本木ヒルズに、もやしみたいなのが3つ4つぐらいポヨポヨポヨッて行って」

・(笑)似合わねえ……

「豆みたいなもいて」

・ははははは

「ほんともう所在なくて。すごい華やかな感じだったんですけど、僕らはじっこのほうで、できるだけ身体を小さくして、面積を、体積を減らしてずっといて。で、映画観て、映画もすーごい刺激的で。16、17、18ぐらいの時に夢中になった世界の中で活躍していたキャラクターたちが、また、新たな活躍を僕らに見せてくれて。僕らにとってはそういうすごい体験だったんですけれども。その時その場所に呼んでくださったのが野村さんだったんですよ。で、お話した時に4人で、いやFFが大好きでって話をすごいして。野村さんも僕らの曲を聴いてくれたそうで」

・へえー

「緊張しててあんまり覚えてないだよな、ほんとに(笑)。一度だけお食事を、みんなでさせていただいたんですけど、そのお食事の場でも何を話したかとか具体的なことはあんま覚えてなくって、緊張しちゃって。お店が一風変わってて、店員さんが忍者っていう設定で」

・ははは、どんな店なんだ!

「沖縄から来た沖縄忍者です、っていう店員さんが、忍術つって手品を見せてくれたってことだけはすごい覚えてるんですけど(笑)。なんでですかね?でもちょっとそんな時に、「いつか機会があったら、一緒に仕事できないですか?」みたいなことを言えよおまえは!みたいなことを、ニヤニヤしながら、スタッフにこう、肘でつつかれて(笑)。「やめろ!」「ほんとそういうのやめろ!」みたいな感じで俺たちは(笑)。「簡単に言うな!」みたいな感じで。そんな簡単なことじゃないと。だから夢物語ですから、文字どおりね。まあそんな感じだったんですけど、それが7年前です」

・結構前だね!

「はい。で、去年ぐらいに「零式」の話をいただいて......ええ(笑)。「まじでか!」と、はい。それでちょっと話戻りますけど、Ⅷの時に公園で朝まで語り明かしたことが、いまそれがほんとになってる時でしょ、みたいな。だから僕はいまだに、ちょっとよくわかってないの(笑)」

・ははははは!

「ひどい、タチの悪い冗談なんじゃないかとか(笑)。ほんとそんくらい現実味がなくって。文字どおり夢物語で。だからその意味が、夢物語の意味がわかりますかと。ほんとに信じられないっていうのはこのことだなっていう。けどまあ、曲もできていて。曲もできているのに、その曲がこういう感じで使われるっていうところもある程度見せてもらったりもしているのに。開発中の画面とかも多少見せていただいたりして、それとかほんとに、「ああこんなの見せてもらっちゃてる!」みたいな感じなんですよ。そこまで来てるのに、いまだにほんとかどうかちゃんとよくわかってないっていう(笑)感じで、はい」

・いや、その夢物語のニュアンスは十分伝わったと思います。

「ああ、そうですか」

・「夢が叶ったとかそういうじゃなくて、あり得ない妄想というか架空の話が、「現実だよ」ってなったっていう感じだね(笑)」

「そうですか。だから、それに対する具体的な行動とか一切なかったんです。そうですね、架空です」

・それに向かって努力するとか、そういう対象ですらなかった。

「そうそうそうそう」

・でも、強い願いはあったんでしょ?「ほんとにやりたい!」っていう

「うん、そうですねえ。将来的にサッカーの選手になりたい、将来的に野球の選手になりたいっていうのとは別で。もしも透明人間になれたらとか、もしもタイムマシンがあったらとか、そのレベルの架空の話なんで。そういう夢物語だったので。だから透明人間になってみたいなとか、タイムスリップしてみたいなっていうのとおんなじぐらい強い、「なってみたいな」「やってみたいな」っていうのがずっとありましたね(笑)」

・よく伝わったと思います(笑)。曲はもともとあったの?

「いやいやいや、話をいただいてから書いたものです」

・その状況をじゃあ教えてもらえる?

「最初に5、6ページぐらいの、ファイリングされたプゼント資料みたいな感じのものをいただいて。その中に1枚の絵が入っていて。主人公の少年少女たちが、それぞれの武器を持って立ったり座ったりしている絵だったんですけど。テキスト的な情報もたくさんいただいたんですけど、世界観を説明してあったり。結構分厚めの台本とかも、ちょっとずついただくような感じだったんですけど、細かいところまで言葉で理解するのはすごい難しくて。あと、寄りすぎてもまずいんじゃないかと思ったりもして。情報過多になってもまずいじゃないかってちょっと思ったりもして。だからイラストがすべてです。最初の設定イラストみたいなのを見て、あとは自分の中にもともとある死生観とか、そういうものがほんとに絡み合って、ポンと出た感じなんじゃないかとか思います、はい。ほんとにこう、この上なく自然に、イラストのムードと自分の中の死生観というか、今まで詞で書いてきたようなことなんですが。自分でもいつぐらいに書けるだろうなっていうのがなんとなくわかっていて。去年「COSMONAUT」を出して、「COSMONAUT」のプロモーションやってる時に、既に、FFの曲書かなきゃとかってスタッフさんとかに言われてたんですけど。自分でもなんとなく、いつぐらいにできるっていうのがわかっていて。もうだから自分から、新年に入って20日ぐらいしたら書ける気がするって言って、書けて(笑)。それがなんでかは全然わかんない。そういう頭の中のイメージ、心の中のイメージっていうか、何かがまとまる瞬間ていうかね。そんなのがなんとなくわかってたような感じでしたね、はい。確かワンコーラス書いて1回寝かしたんじゃなかったっけな。ワンコーラスだけ書いて、とりあえずその日は終わりにして、続きは次の日に書くみたいな感じでやった気がします」

・どの部分?

「ほんと冒頭から1サビまでですね、はい」

・それまで自分がやってきたFFの世界観とかストーリー体験みたいなものとか当然リンクしている?

「それは全然考えなかったです。勝手に出ると思います(笑)。勝手に出ると思ったし、そういうものを計算して作ることだけはしたくなくて。すごい純度の高い興味と熱情を持って曲を作れば、そういうものは本能的なところの作業だってことがわかってきて、さすがに。こんなんでも一応10年以上やっていて(笑)、そうなってくると、そういうふうなものが一応あって。だからタイアップも今まで何個かやりましたけど、今回こうだからこういう曲を書いたんだろうな、みたいなことを言われたりするんですけど……それは別に、「うん、そうだよ」って言う時もあるし、そんなのその人の世界での落としどころだと思うから、人それぞれで僕はいいんですけど。こっちから言うと、言葉になるところではないっていうか。大好きでやっているものだから、全部タイアップのお話は。「ドラえもん」にしてもね」

・ほんとに純度の高い本質的なことをやったら、もう自然に、それまでのすべてがリンクするんだっていう。その感じっていうのは、どんどん加速してる感じがしますよね。

「ああ、タイアップっていうところにクローズアップして話すんでしたら、音楽以外の何かを表現しているもの——映画だったり、ゲームだったり、アニメだったりですけど、そういうものに出会った時、一番楽しい瞬間、そういうものが存在する意味が一番感じられる瞬間。衣食住の中に含まれていないものじゃないですか、音楽にしても、ゲームにしても、その答えになる得るようなものが一番感じられる瞬間てのは、そういうところにあると僕は思います。なんでしょうね?こんなふうなことを言っていて、自分でもあんまりよくわかってないんですけれども」

・いや、でも、ほんとにどんどんそうなってきている感じがしますね。だいぶ昔の話だけども、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の時も、“花の名”が出てきた時に俺は衝撃を受けたんだけど。ただ、「こんなにまさに言い当ててる歌詞って一体どこまで緻密に考えてできたんだろう?」ってできた時のいきさつを訊いた時に、藤くんは、強く思った言葉を断片的に携帯にずーっとメモしていたと。

「そうですそうです」

・それが結果として

「そうですね、断片的言葉が繋がった訳だしね」

・繋がってあの歌詞になって。それがまさしくあの歌詞でしかないものになったという。その時に、すごいなあと思ったと同時に、今聴くとあれはやっぱまだプロセスだったんだなあという感じがしますね

「はいはい、確かに」

・あの時は試行錯誤というか、ひとつの手法としてあったけど。今はビューッー!てそこにいける。で、「COSMONAUT」というのもまだ、根本的に何も作り方は変わってないんだけども、やっぱり若干のアプローチの違いがあって。

「はいはい」

・自分の中で、たとえば歌詞の推敲だったりの意図の部分ではなくて、ボーンと投げたものが、これいいよって喜んでもらえて、そしたらそれはそれでそれなんだっていう、あのアルバムってその感覚の塊みたいなもんなんだけど。そういうのを1枚作り終えて、さらにまた強まった部分もあるんじゃないかな。

「あります。それはあります。僕は言葉で説明できないことは、僕にとってはすごい健全な状況だなと、もの作ってる上で。そういうことだと思います(笑)。よくわかんねえけどこれなんです、っていう。そういう感じです」

・「COSMONAUT」の時は、書く歌のテーマとかは藤くんから出たものだったり、プロデューサーの人から投げられたものだったけども、今回みたいに外から、こういうタイアップでこういうのお願いしますって言われても、そういうことがそういう手法で——

「ああ、そうですね。だから10年前、同じ手法でできたかって訊かれたら、ちょっと自信ないですね」

・もうちょっとゲームの情報欲しいなあとか。ストーリーにすり寄って書いてみようとか、そういう発想になってたかもしれないね、もしかするとね。

「もしかしたらそうかもしれないです。わからないですけど……。ただ、書いたものが、これで大丈夫なのかどうかっていうところにはすごく不安があったので。自分の中ではこれだ、もうこれしかないっていうふうになっていても、それが果たしてね、ちゃんと望みどおりのものになれたかどうかっていうのは、自信がなかったので……」

・なってます

「(笑)なってましたか?ま、あのー、そういうところでいろいろとこう、「見せていただけるものがあったら、見せていただけませんか?」とか(笑)言ったりもしたんですけど」

・だからまさにバンプ・オブ・チキンの曲だし。としか言いようがないし

「ああ、でも、そうですね、お客さんのことは考えましたね、はい」

・俺はこの「零式」の内容っていうのは、まだリリースしてないから、プレイしたことないから知らないけど、まさにFFっていう曲でもあるっていう。

「もちろんFFのこともすごい、はい。やっぱ夢物語ですから」

・でも、曲を作る時点ではそれは全然意図せずして、ただ純度高くやったらそうなるっていうのがねえ?

「そうですねえ。18歳の時に朝まで公園でしゃべってた奴がそのまま大人になって書いた曲ですから、やっぱそういうものですよね」

・そうだね(笑)。「ドラえもん」の“友達の唄”の時もそう思った。まさにバンプの歌だし、まさに「ドラえもん」そのものの歌だなという

「うん。あれはね、のび太っていう存在がそういうものだからだと思うんですけどね。のび太っていう存在が日本にとって、ものすごい普遍的なものだったからだと思うんですけど。だから良かったんだと思うし。でも、のび太はそうだから、みんなののび太だからっていうのを、俺もどっかでわかってたと思うし。みんなの中に、みんなの数だけのび太がいるっていうような。FFに関しても、FFってアルファベット2個、「ファイナルファンタジー」。そうですねえ、ファイファンて呼んでた時もありましらねえ。小学校の時はファイファンでしたね」

・そうだね、FFじゃなかったもんね(笑)

「「ファイファンⅢやってる?」みたいな。東京来てからみんなFFって言ってて。東京はやっぱおしゃれだなあ、と(笑)」

・はははは。これは音楽的にもすごく興味深いて。イントロの部分はリズムがウドゥって。一番まるまる、いわゆるバンドサウンドでもないし弾き語りっていう訳でもない、初めてのトライアルだと思うんだけど

「うん。いろいろとうまくいきましたね、あれはね」

・これはどういうイメージありきで?

「冒頭の部分は、すんなりそうなっていった感じだったなあ。プロデューサーもいろいろと、イメージがちゃんとあって。何だろ、漠然としてんですけど、緊張感がある状態で続いていって。まあ短調のメロディで。コード進行はオンコードを基軸にして、こう、なんていうか……コードの雰囲気とかもすごくこう、自分の中ではもう確信的な何かがあって、どんどんそうなっていって。オンコードでここまで引っ張ってこっからベースが動くみたいな、その位置とかもね。何て説明していいかわかんないすけど、半音下げのAマイナーのキーなんですけど、そこにDが必ず出てくるみたいな確信もあって。で、やっぱりDは入って。それもだから、入れるぞって入れる感じじゃなくて、「ほらやっぱり入ってた」みたいな感じ。そのメロディの中に入ってたので。メロディは和音鳴らすとすればもう、それしかないっていうか。どうやって肉付けされってったんですかねえ……俺は言葉、メロディ、コード進行、それと全体の構成。で、冒頭のあの感じ、たとえばウドゥだとか、ホイッスルみたいな音とかは、わりとプロデューサーの意向が強かったとこなんです。あの人、ゲームとかそんなにやってないのに、僕の中でもすごいぴったりだったので、イメージ的に。それもすんなり決まっていって。サビで一定の緊張感保ったまんま、抑揚があるんだけども、サビまで我慢、ちゃんとして、サビで解放されるんだけど、でも結局緊張感も残っていてみたいな、そういう。だから言葉には直んないですよね。こういうことってね」

・いや。すごいよくわかるよ

「そういうイメージ?で。それを彩るサウンドの雰囲気?それはもう水彩絵の具をすごい水で溶いていっぱい混ぜたぐらい、曖昧なものなんですけど、そういうイメージも結構はっきりあって。で、曲単体で考えれば。サウンドの色づけはわりとどうにでもなるものだったんですけど。どうにでもなるけどこれしかない、っていうところがやっぱあって」

・どの曲も当然アレンジ大事なんだけど、この曲に関してはもう、ここは歌の前のイントロでとか、これはAメロだからその伴奏はこういうんですか、そういうものではなくて。明確に第1音が鳴ってから、音が世界観を決定してるよね

「ああ、ああ、ああ、ああ」

・最初から最後までそれが担ってるというか。何かの役割っていうんじゃなくて、それがもうすべてっていうぐらい、ものすごくサウンドが重要になっていて。ここまでやったのは、やっぱりイメージがすごい重要だったんだなあと思いましたけどね

「はい。そうです、イメージが重要っていうのはどの曲にも言えることだと思うんですけど。イメージが重要で、重要度が重くなればなるほど言葉で説明できなくなるんですけど(笑)。この曲もそうだと思います。何のイメージもなく始めたものっていうのもなくはないですけど」

・いやもうイントロじゃないですね、あれね。

「ああ、そうですか。あの最初の音ですか?」

・最初の音もそうだし、ウドゥとギターのあれもそうだし

「あの空気感てのはすごく大事だったんだと思います、自分たちの中で」

・すごくヨーロッパ的な雰囲気だったりとか——

「古臭いロックのようでもあるでしょう(笑)」

・のようでもある(笑)。レッド・シェッペリンの“天国の階段”を一瞬思い出すような、そういう感じもあったりとか

「ああ、ああ」

・あと、すごく抽象的な死生観なんだけども、今回「足音が消える」っていうような言葉がまず出てくるじゃない?抽象的な死生観が歌われるんだけども、常に地に足が着いているというか、現実と地続きの中で何とか力強くそれを言おうとしてる感じというか

「うんうん。ああでもこの歌詞の内容に関してはほんとに、こういうことをずっと、10代の時から強く思っていたんだなっていうことを、年を取れば取るほど自覚していって。自覚できてるつもりでいても、それにしてもこんなに強かったのかって、その度合いというものにね、毎回自分でもあきれるというか。なんか、ほんとこういうのは歌の歌詞にでもならない限り、人には説明できないものだなっていうか。こんなこと日常のテンションで誰にも言えねえなみたいな感じの(笑)、そういうものなんで。で、何度も歌にしてきた——感覚というか。だから現実なんです。自分の中では、そうですね、日常的な感情です」

・歌詞に関してちょっと訊きたいんですけど。「ファイナルファンタジー」だから、恐らくゲーム自体は戦いの物語だと思うんですよ

「うんうんうん」

・で、藤くんの本質的な死生観が歌われているんだけども。シーンというのが戦って生きている情景になっているんだけど。そのへんは?

「僕はもう、誰も知っている日常の風景の中で、そのあとは誰でもかどうかわかんないですけど、多くの人が持っている気持ちだったり、っていうものを書いたっていう感覚ですね。それが戦いというか、そういうものに聞こえるんであれば、それはその人がそうなんじゃないかな、きっと。そういう感じですね。それを生活って取る人もいるかもしれないし。もうちょっとこう、状況を限定して、出会い、別れみたいな、そういうふうなものに集約していく人もいるかもしれないし、この歌詞を読んでね。そういうものでと僕は思います、はい」

・「終わりまであなたといたい それ以外確かな思いが無い」って、すごくシングルに言い切ってる。

「そうですねえ、だって、それは確かじゃないですか。その手の気持ちっていうのは確かじゃないですか。《あなた》っていうものは詞ですから、いろいろと置き換えるだろうし、そのまんま、あなたと呼べる人もいるだろうし、そこもいろいろだと思うんですけど。ただ単に、カレーが好きすぎるみたいなことかもしれないし......(笑)はい......そこはだから、欲望だと思うんですね」

・僕はこの歌詞を聴きながら、FFもやったことあるし、そういう、ストーリーと世界観とのリンケージでも、情景的に多少リンクさせながら聴いたんだけども。作ってる時は、そういうあれはなかったの?

「うーんと......でも、絵はすごい見たんですけど、その絵もブースに入ったらもう見なかったですね」

・あ、そうなんだ

「絵を見て生まれた気持ちっていうのは、18歳の時から持っているものだったので(笑)18歳の時っていうのが「FFⅧ」、主题歌のあれになってますけど、もう全然、古くからいえば、生まれたタイミング?いつ生まれたかっていうのが不明な「FFⅡ」から、なんとなく好きなんじゃないか僕は、みたいな。なんとなくの頃からイメージを想起させてくれる、そういう絵だったので。ブースに入って曲を作り始めたら、でもほんとに......だからその歌がちゃんとリアリティを持って山崎さんに響いてくれてるんだとしたら、僕はそういうふうに書けていたってことだと思うし。だから、ブースに入ったらいつもどおりだった感じ」

・なるほどね。

「そうですね、言葉多かったですね。そういうことです。曲書くぞって、はい。僕は今、そういうサウンドを求めてるっていうのがあって、頭の中に漠然と。ジャカジャン!てやらたいとか、四つ打ちがやりたいとか、やれと言われたとか、何でもいいですけど、そういう感じで。結構はっきりとしたイメージがある中で、言葉もそんな感じでどんどん自分の中から出てきて」

・なるほどね。イントロから始まって、すごく高揚感のあるよサビがくるんだけど、それもフワーッと舞い上がるような高揚感ではなくて、地に足が着いた、力強い——盛り上がるというか鼓舞するような?

「うんうん」

・とても勇気を搔き立てられるような高揚感だなあという感じがして。それプラス、まあ人っていうのは生きて死ぬんだけど。で、藤くんの楽曲っていうのは、そのせつなさみたいなものが必ずあるんだけど、これは戦いのゲームの曲っていうことで、もう少しせつなさを振り切って、気持ちを鼓舞していけるようなところにまで行けたのかなあという

「いや、それは......はっきり言えば“HAPPY”とかと同じようなこと書いてると僕は思っていて。“HAPPY”とかのほうがどちらかといえばせつなさを振り切れてるかもしれないですね。もっと泣きっつらだと思います、こっちのほうは(笑)」

・「足音が消える」っていう歌詞の最初のくだりは、どういうイメージから出てきたの?

「これはFFの絵を見せていただいて、今回はこういう世界観なんですという、ほんとにざっくりとした話を聞かせていただいた時に、その絵のイメージ、世界観のイメージ、それと自分が今生きてる世の中で自分が感じること、自分が世の中で生きているたくさんの人を見た時のイメージか、そういうものが折り重なって出てきたフレーズです」

・なるほどね。これは導入とエンディングに出てきてますけど、このゲームの世界観みたいなところに触発された部分はある?

「ありますね、そうですね、はい。その作用が一番強い部分だと思います」

・そこからはもう藤くんの?

「そうですね。それがきっかけですね。どんなふうにダムが壊れるのか、楔をどこに打ったか、その楔が何だったのか、みたいな話だと思います」

・なるほどね。もう、完全にそういう作り方なんだねえ。

「そうですね。だからその楔をもらえた訳ですよ。で、18歳の時のそういう強い夢物語に対する強い憧れ、欲望みたいなものとか、今まで生きてきたこととか、今も現在進行形であり続けているバンド、それからFFシリーズ、それと自分との関係性。あとは世の中と自分との関係。全部渾然一体となってこういうものになる訳で、はい。どこかひとつの要素に偏ってしゃべれるものでもないし。かといってどれが欠けていても、こういう言葉にはならなかったという」

・この詞にはこういう思いがあって、この詞ではこういうことが言いたくてっていうことが、どんどん、ほんとに聞けなくなっていくんだね

「ああ、そうですね」

・ただ楔が打たれて、それをきっかけに藤くんの中にあるすべてが出てくるという。

「そうですん。結局、俺はほんとに自分自身、芸がないというか、突き詰めれば同じことをずっと書いてると思うし。同じテーマのことをずっと書いてると思うし。それに着せる服は多少違ったとしても、そういうものだと僕は思っているし。それでいいというか、それを続けることに意味があると思っているので。意味があるというかそれしかできないというか、まあもうほんと、卵が先か鶏が先かみたいな話にもなってきますけど(笑)、はい」

・なるほどね、いや、今のですごいよくわかった。この最初の2行と最後の2行、これは何かなと思ったら、そうなんですね

「そうでうすね。でも俺にとっては、最初の2行も最後の2行も、すげえあるので。こういう感覚、こういうふうに思う時っていうのがやっぱり、少なからず自分の人生の中であったし、そういう場面を見てきたし。こういうことはもう、2回、3回あれば、いっぱいあったと言っていいことだと思えるぐらいのレベルのことだと思うんですけど。そういうことを実際僕は経験してきたし、自分の三十数年の人生の中でね。で、ゲームの中で起きたこととかも、人によってはそれが、実際に自分の経験と照らし合わせられる人もいっぱいいると思うし。それが小説でもあるかもしれないしね、映画でもあるかもしれないし、はい」

・まあ、照らし合わせないとしてもね

「そうそう、合わせないとしても。だから、分けて考えちゃえばそこまでだし。分けないで考えることもできたかもしれないし。それはもう、だから、どんな歌詞もそうだと思うんですね。あるミュージシャンの切迫した状況?切迫してなくても、あるミュージシャンのリアリティな生活に肉迫した、すごく生々しく描かれた、一日の出来事をそのまま日記のように追っただけの歌があったとしても、聴く人によってはそれがものすごくリアリティを持って聞こえたとします。分けて考えちゃえばそういうものじゃないですか。そういう、ただの作品じゃないですか。だからそこはもう......なるようになるしかないというか。この曲に関しても、他の曲に関しても、そこはもうほんとに受け取られ方次第ですね」

・なるほど、わかりました。バンプ・オフ・チキンはタイアップというものが続いているから、どういう動機で音楽をやっているんだろう、どういう動機で曲をリリースするんだろうというのが気になってる人がいっぱいいると思うんだけど、そういうことなんですね。

「そうです」

・(笑)おんなじなんだね

「だから、子どもの時から続いて、ほんと子どもの時から好きでみたいなことを、今回も言ってるから、もうバカみたいだなと思うんですけど(笑)、それは本当のことで。大好きな音楽をやってたら大好きなものに巡り合えたっていうか。そしてそれをやろうとすることが大好きで、みたいなね。で、やってることは実際いつもどおりのことで」

・そうなんだよ!そこがすごい重要だと思う。同じことが起きているんだね。

「そうですね。さっき、「ファイナルファンタジーⅢ」までは周りでやってる子がいなかったって言ったじゃないですか。Ⅲから、一番仲がいい子だった友達で、とうとう「ファイナルファンタジー」をやる奴がいたというね。この「零式」の主题歌をやると発表された時に、そいつから連絡が来て。「おまえ、主题歌やるのか?」と。メールだったんですけど、「いやぁFFか、そうかぁ!」って。小学5年生でクラス替えだったんですけど、5年の時に初めて知り合って仲良くなった奴で。家は近かったんだけど、同じ地区の顔見知り程度の感じで、そんなに話したこともなかったし。ましてやお互いに遊んだこともないような奴だったんですけど、すげえ仲良くなって。仲良くなっていく要素として、「ファイナルファンタジーⅢ」っていうのはすごい大きくって。もうほんと語り尽くしましたから、そいつと一緒に「ファイナルファンタジーⅢ」に関して」

・メールが来たんだ(笑)

「うん。お互いめちゃくちゃ感慨深くって、それが。嬉しかったですね、やっぱり。だから夢物語ってのはもう、ほんとそういうことで(笑)」


杂志照拍摄花絮   英国紳士?

都内ある築80年のモダンな邸宅に、Tシャツにジーンズというフラな格好でやって来た藤原。着替えを済ませ、黒のセットアップスーツに身を包むと、カジュアルな私服姿とはうって変わって見違えるようにキマっていた。家主のご婦人がその姿を見るや否や「あら、素敵になって」と声をかけると、途端に「あ、どうもありがとうございます。馬子にも衣装って言いますからね」と、ひどく謙遜した調子で応える。撮影終了して家主さんにお茶を出してもらった時も、周りのスタッフの誰よりも恐縮しっぱなしだった。撮影中の英国紳士の凛とした佇まいはどこへやら。なんだろう、このギャップは。高潔さと人との距離をぐっと縮める純朴さとが同居する藤原の空気感。それってなるほど、バンプの音楽そのものだと、小さな発見をした気分


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